創業文化六年、彦根藩井伊家御用達の和菓子店 いと重菓舗は、彦根城にほど近く、夢京橋商店街から一筋外れたところにある上品な佇まいのお店です。
彦根に来たからには、彦根の老舗和菓子を食べてみたい!ということで行ってきました。イートインはなかったので、棹物(羊羹やういろうなど、細長い形状で、切り分けて食べるお菓子。棹菓子ともいう)の「道芝」をチョイス。帰宅して、早速切り分けて食べてみました。はい、こんな風に細長い箱に入っているのをお好みの厚さでカット。
商品説明には「こし餡を黄身しぐれ餡で包み、さらにその周りを秘伝の生地で包みました」とあります。真ん中のこしあんは濃厚な甘さで幾分かため。黄味しぐれ餡はその周りの緑色が濃くなってるところなのでしょうか、それ単体では良く分かりませんでした。
そして周りの「秘伝の生地」の部分はそれこそ黄味しぐれ餡(「しぐれ」とは「時雨饅頭」の略で、餡をこねて蒸した和菓子。餡に卵黄を混ぜるため「黄身しぐれ」という。蒸しあがったときにできるひびを時雨に見立てた和菓子である。ウィキペディアより抜粋)のような、和風のスポンジケーキと言ったら分かりやすいでしょうか、さらり、ほろりとした食感で、甘さ控えめの生地です。
全体を一度に口に入れると、濃厚で滑らかなあんこと、ほろほろした生地が口の中で合わさって、とても楽しいです。そして、甘さの後は抹茶の風味が鼻から抜けていきました。緑色の生地には抹茶の風味が付いていて、濃厚さの後に来るさわやかな後味が、とても新鮮な驚きでした。
「道芝」というのは、言葉自体は「道端の草」というような意味ですが、いと重さんのサイトによりますと
「彦根藩は京都を守護する任務を負っており、いざ京都に大事あるときは、琵琶湖を御早舟で二刻ほどで京都へ駆けつける湖上水軍が備わっていました。平時においては、参勤交代から藩主の帰国の連絡があると米原港まで迎えに行き、舟歌を歌いながら彦根城へお連れしました。その湖上水軍の舟歌に「法の道芝」と名づけられたものがありました」とあり、この「道芝」というお菓子はその舟歌にちなんで名付けられたんだそうです。う~ん、なんだかすごい。
今回は茶道を究めた井伊直弼に思いを馳せ、お抹茶とあわせてみました。
濃厚な甘みと、鼻に抜けるさわやかなお茶の風味が、彦根から京都への道筋にある草いきれを連想させるような、そんな歴史と情緒のあるお菓子でした。
いと重菓舗(本店)
住所 〒522-0064 滋賀県彦根市本町1-3-37
電話番号 フリーダイヤル:0120-21-6003 / 代表:0749-22-6003
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