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パリ-じんちゃん食堂でのどら焼きイベントに大行列

2020年2月8日、パリのバスチーユ地区の日本食レストラン「じんちゃん食堂」で、路上どら焼き販売イベントが開催されました。

このイベントは、北海道十勝の小豆農家の森田農場さんと、じんちゃん食堂さん、そして、和菓子職人の岩崎健一さんの3者によるコラボレートで実現されました。

路上販売の様子をレポートします。

土曜日のお昼間、じんちゃん食堂のお馴染みさんにさえも予告なしでゲリラ的に始まったイベントでした。

にもかかわらず、店舗前で3時間の実演販売の結果、約500個のどら焼きが完売しました。

パリでは、TORAYAパリ店でもどら焼きが販売され、またどら焼き専門のサロンド・テのトモもあります。

この両店とも、日本でみかける一般的などら焼きサイズで販売されています。

今回は、路上で焼き、スナック感覚で、道行く人に召し味って頂くため、特別に少し小さなサイズでどら焼きが作られました。

パリのブラッスリエでの持ち帰り方式でよくつかわれている、紙の袋に入れてお渡ししする方式での販売でした。

日本のようにビニールで包んだり、手提げ袋に入れたり、パックに詰めたりということはしません。

どんなお客様が来られたかというと主に三つのカテゴリーに分かれるかと思います

まず一つ目のカテゴリーは、日本でどら焼きを食べたことがあるという方。

旅行に行ったことがあるよと、たくさんお話しくださりました。

なつかしーって食べていただきました。

二つ目のカテゴリーは、どら焼きを知っているけれども、まだ食べたことがなかったという方。

たとえば、映画『あん』でみたことがあるけれど、まだ食べたことがないから、楽しみっておっしゃってくださってました。

そして三つ目のカテゴリーの方は、そもそも何であるかよくわからないが、とりあえず美味しそうだから買って食べてみようという方々。そこに行列ができていたから、並んでみたという方もここに入ります。

圧倒的に、このカテゴリーの方が多かったです。

にもかかわらず、「この路上イベントは今回だけか?」「次はいつやるのか?」「来週もやるのか?」と聞いてくる人が多くおられ、初めてどら焼きを召し上がって美味しかったというだけでなく、また食べたいと言ってくださる関心の高さが伺えました。

日本でも店頭で焼く和菓子といえば、たい焼きが有名ですね。

おいしい匂いにつられて、路上で買って食べる方式も浸透しています。

どら焼きも同じような方式で、どら焼きでも、たい焼きでも、同じようにパリの街角で売られる機会が今後増えてくるのではないでしょうか。

定期的に、もしくは毎日どら焼きを焼いてくださるお店が生まれてくださる日が近いかもしれませんね。

ちなみに、日本の和菓子職人さんに、フランスのあなたの所でも路上どら焼きイベントをやってほしいという依頼がある場合には、職人さんお呼びしたり、小豆の提供したり、どら焼きの作り方を学んだりというパッケージをご提案することもできますので、編集部までどうぞお気軽にお問い合わせください。

2020/2/8 取材 和田美香

【取材協力】

森田農場(株式会社A-netファーム十勝)http://azuki-life.com

じんちゃん食堂 https://pickup.deliverect.com/jinchanshokudo/fr/order/

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パリで 小豆のイベントが開催されました

北海道十勝の小豆農家、森田農場さんが、パリのレストランやサロンド・テのパティシエさんに自家農場産の小豆を使っていただけるよう、森田農場産小豆の使い方や特性をプレゼンテーションされるイベントが、2020年2月10日にパリで開催されました。

イベントに同行取材させていただいたので、イベントの様子をご報告します。

パリの和菓子事情

2019年から、森田農場産の小豆が、高級日本食材店NISHIKIDORIで卸や小売りで取り扱いが開始されました。

それまで、フランスで小豆を入手するには、EU圏外やフランス産の小豆のみが扱われていました。

生育条件に長けかつ生産技術の蓄積がある北海道産の、その中でも特に、条件の揃った同じ畑の小豆のみが製品として販売されているものはこれまで手に入りませんでした。なので、北海道十勝産の小豆というだけでも珍しいのに、北海道十勝の森田農場産の小豆がパリでも入手できるようになったことは、小豆に注目が集まっていることを表す、特筆すべきことです。

パリでは、映画『あん』のおかげで、どら焼きを知る人も多いですし、TORAYAパリ店や、パティスリー・トモだけでなく、大福餅のお店が新しく左岸に出来たり、OGATAという茶房が開店したりし、パリッ子に和菓子を食べていただける機会もますます増えてきています。

そんななか、小豆の中でも、単一農場産のため品質がそろっていて、早くに煮えやすく、味も濃いという、付加価値の高い小豆を扱っていただくことが、今後予想される和菓子のなかの差別化に有効に働くことを伝えるたいという主旨での、イベントでした。

実際の来場者はおよそ50人で、パティシエや、お料理教室の先生、マスコミ関係者でした。

イベントは4部構成でおこなわれました。

第一部 伝統的な和菓子の紹介

季節を味わう、日本の伝統的な和菓子の紹介を通じて、小豆の使い方を紹介するコーナーでした。

森田農場産の小豆の使い方として、日本の伝統的な和菓子をつくることで味がどれぐらい違うかをを提案するため、和菓子職人の岩崎健一さんが、プレゼンテーターとしてどら焼きと桜餅を作られました。

桜餅は、関西風と、関東風の2種類です。

また、小豆を一から炊き、おしるこに仕上げるまでの工程も披露されました。

第二部 小豆の栄養特性についての紹介

オンラインの画像を通じて、十勝産の小豆「きたろまん」の特性についての説明がライブでおこなわれました。

説明をして下さったのは加藤淳先生です。

小豆は、チョコレートと比べてカロリーが少ないことはよく知られていますが、それだけでなく、北海道十勝産のきたろまんはポリフェノールが他のあずきに比べて非常に高く、赤ワインに比べて10倍ものポリフェノール含有量があることが紹介されました。

また、 動物が小豆ポリフェノールを摂取した後には、コレステロール値が下がり、血糖値が急激に上昇しないなどの実験数値があることの紹介もされていました。

小豆を食べる事が、単純に日本の伝統食として美味しいというだけでなく、健康にも、美容にも良いというお話しに、会場参加者は熱心に聞き入っていました。

第三部 フランス料理で小豆をつかう提案

ここは、小豆を、料理として展開してご紹介くださるコーナーでした。

パーソナルシェフの、パスカル・シャボーさんが、3種類の品を披露くださりました。

一つは、小豆のサラダ。ただ単に小豆がはいっているだけでなく、小豆コロッケ入りのサラダにしてくださりました。

もう一つは、小豆ポタージュ。濃厚なポタージュに小豆の風味がしっかりのこっていて、何度もおかわりしたくなる味でした。

もう一つは、小豆タルト。甘くないタルトです。腹割れしていない形のきれいなゆで小豆がぎっしり詰まっていて、これまでみたことのないぐらい小豆タルトの断面が、とてもきれいでした。

パスカルさん は、ポリフェノールや美味しい成分がたくさん含まれている小豆を、いかに小豆らしさ残して美味しく食べるかに注目してお料理を提案してくださったそうです。

小豆を食べるには、料理は向かない。やっぱり砂糖を使って餡にするのが一番だと思っている、日本人の気持ちや考えを、軽々と超えた美味しい食事のご提案を頂き、目を見開かされました。

第四部は、小豆料理コンテスト

小豆をつかった料理コンテストの発表会です。

世界各国から集まった女性たちが料理人として活躍するミート・マイ・ママのみなさまに、今回小豆料理をご提案いただきました。

どれも美味しくて甲乙つけがたいお料理だった中で、コンテストで優勝されたのは、イタリアのママがご提案いただいた、ティラミスに小豆クリームをつかったデザートでした。

他のママたちがご提案くださった小豆料理も ご紹介しておきます。

スリランカ  小豆のスパイシー点心

エジプト  小豆ファラフェル(オリジナルソースをつけてたべる)

ブラジル  小豆ドック(パンにはさんでたべる)

モロッコ  小豆チョコケーキ

おわりに

舌の肥えているお客様への付加価値の高い食材として小豆を使っていただくご提案を、多方面からおこなったイベントでした。

プロの料理人が展開してくださった食べ方がとても斬新でした。

とくに、小豆を日常に扱わない食文化におられるにもかかわらず、豆の味を最高に引き出し、小豆がベストな状態はどんなものかを考えてご提案くださったパスカルさんや、そのお料理に出会えたことが、筆者にとって一番、驚き、そして、嬉しかったことでした。

パスカルさんは、アルデンテに扱える煮崩れしない小豆との出会いは大事だとおっしゃっていて、腹割れしないように小豆を炊いて料理に仕上げることにこだわったのだと、あとでおしえていただきました。

日本でも、小豆の豆の形や特徴を活かす菓子づくりの方法のなかに、小豆を腹割れさせないように炊く製法があります。

小豆を広げるためには、日本で食べる伝統的な和菓子という食べ方とともに、もっと小豆のアルデンテの茹で方そのものや、そしてアルデンテに茹でた小豆の使い方を提案していくことに特化する方法も、有効なんだと教えられたイベントでもありました。

イベント主催者様

森田農場

https://www.azukilife.com/

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和菓子と海外、和菓子と時代の関わり最前線

フランス、リヨンの食の展示会で、どら焼き披露くださっていた和菓子職人さんが、ひっぱりだこでした。
うちの店でやってくれないかとか、お店はフランスのどこにあるのか、お店を一緒につくりませんか、といった具合にです。

こんなに、ヨーロッパで引っ張りだこの和菓子職人さん。
でも、よく 考えてみると、和菓子づくりは、日本国内でしか学べません。
きっと、ヨーロッパから和菓子職人になりたい人が、日本に学びに来ておられるのではないかと考えました。

和菓子職人さんになりたい人達は、どんな人たちが集まっているのだろうか、どういう未来を描いているんだろうか、そんなことをお聞きしたくて東京製菓学校さんに取材にいってまいりました。

高田馬場駅方面から戸山方面に歩くと、目に入る東京製菓学校

日本国内での和菓子と洋菓子の境界

 

Q、 東京製菓学校では入学する時点で、和菓子か洋菓子か、専門を選ばれるのですね。

A、 はいそうです。
和菓子、洋菓子、製パンのそれぞれの技術をみっちり2年間お伝えし、より深い専門知識と技術を身に着けていただくカリキュラムになっています。

 

Q、 ということは、入学される段階で既に、将来、自分は和菓子職人になる、もしくは洋菓子職人になる,と決めてこられるわけですね。

A、 そういうことになります。

とはいうものの、和菓子、洋菓子という違いは、実はこれこそ日本独特のもののようで、例えばこんなエピソードがありました。

海外からの留学生で、自分は日本の菓子を学びたいんだと入学を希望された方がおられました。私たちは、てっきり和菓子課に入学をご希望だろうとおもったんです。 ですがよくお聞きしてみると、その方が作りたかったのはイチゴショートケーキだったんですね。
ということで、洋菓子課に入学されました。

私たちが見るとイチゴのショートケーキは洋菓子になるんですけれども、海外から見ると、日本が生み出した、日本の菓子なんですね。

こんな風に、和菓子、洋菓子といって分けても、だんだん垣根がなくなってきているような現状があります。

東京は人が集まるところなので、どら焼き専門店、もなか専門店と、和菓子のなかでもさらに、ある特定の商品に特化した専門の和菓子屋さんが存在します。

でも今、日本全国でみてみると、東京は特異です。
全国的にみると、洋菓子店でさえ減っています。
郊外や地方では、一つの店の中で和菓子も洋菓子も売られているところが一般的です。

なので 実際には、和菓子職人だから和菓子しか作らない、洋菓子職人だから洋菓子しか作らない、といったことではすでに日本の菓子業界は成り立たず、 また菓子そのものも、洋菓子とも和菓子ともいえるハイブリッドなものがだんだん一般的になっているのが現状です。

それで、和菓子屋さんだけれどもフランスの洋菓子を学びに留学されたり、 和菓子と洋菓子の両方を専門的に学んでから菓子店を開業される方も、最近ではおられるわけです。

 

海外での日本菓子の定義もうつりかわってきた

 

東京製菓学校では、文化庁や外務省から依頼を受け、海外で日本文化を伝えるために、和菓子のイベントを開催しにゆくことが年に数回あります。もう20年ほど前から行なっている事です。

同行させてもらって感じるのが、6~7年前ぐらいを境目に、20年前と、今の、ヨーロッパの人の和の食材をつかった食べ物への関心や反応が、手のひらを返したようにすごく大きく変わってきていて、和菓子の好感度が劇的にあがったということです。

例えば、20年前ぐらいまでは、 抹茶、主菓子(おもがし)、練きり、と、イベントでお出しする菓子もきまっていましたし、茶道の作法にのっとって出し方も決まっていました。
いわゆる茶席菓子として、和菓子をわたしたちも提供していたのです。

そして来た方は、「何だこの苦いのは!」と、まるで罰ゲームのときのように、あからさまに嫌な顔をされて帰って行かれる姿を見てきました。

ところが最近は違います。
特に、抹茶やきなこ、柚子といった素材が、和を象徴する素材としてもてはやされ、また好んで召し上がられます。
和菓子も、今では、健康的なもの、新しいものとして受け入れられています。

とはいっても、日本で出回っている菓子の味をそのまま持って行って、現地で受けるわけではありません。
例えば日本で柚子を使うときは、ほんのりした香りが好まれます。
でも、フランスでは、 ガツンと柚子が効いている味が好まれます。

 

嗜好の変化がおこったのは、3つの理由があるかと考えています。

一つ目の理由は、流通。良い素材が輸出にまわるようになったということ。

素材がよかったら、好まれるのは当然ですよね。 かなり手間暇かけられ、厳選されたいいものだけが輸出されたり、現地に持ち込まれ、提供されているわけですから、受けないわけがありません。

二つ目の理由は、食の世界的な傾向というのも影響しているのかもしれません。

和菓子の主原料となる大豆や小豆 は、そもそも豆です。
豆料理をヨーロッパでは、 生活水準が低い家庭の食べ物とか、家畜の餌といったイメージがどうしてもつきまとったそうです。

しかし、いまでは、豆は、健康志向の人にはなくてはならない素材になり、ビオのスーパーでは小豆を必ずみかけるようになりました。
昔とちがって、豆を食べることのステイタスが高いというわけです。
そんな健康素材が使われている菓子というだけで、新しい注目を浴びているのも事実です。

三つ目の理由は、味の面の変化です。いま、和菓子も、抹茶の引き立て役という組み合わせをはなれた、自由な工夫が、どんどんなされてきたというのも働いているでしょう。

元々、和菓子は、茶席で、抹茶を引き立てる役として、生まれた経緯があります。
だから味は、目立ってはいけなかったんですね。
だから、素材もシンプルだったんです。
お抹茶の味を楽しむために、和菓子には、酸味や香りは求められていません。

でも、ご家庭でコーヒーと一緒に和菓子を召し上がる時に、決まりはありません。
味の組み合わせ、香りの組み合わせも自由です。
定番もありません。
正解もありません。
だから、提供する菓子も、現地の好みにあわせた味になり、それをさらに工夫しているという、職人さんの頭の柔らかさが、功を奏しているのだとも考えられます。

お話ししてくださった、教育部 部長 小林紀夫 様

和菓子と洋菓子を分けるもの

 

Q、 和菓子と洋菓子のプロフェッショナルになるために学んでいく過程で、何が一番違うのですか?

A、 和菓子は粉を学び、洋菓子は油脂の使い方を学びます。

例えば、米粉には、もち米とうるち米があります。うるち米の粉にも、粗いものや細かいものもあります。
また、米の生産年度や、生産地によって、米粉の同じ粒度のものでも、同じレシピでは作れません。自分のイメージにあう菓子にするために、ずっと粉を探し、工夫を重ねつづけていかなければなりません。

油脂の使い方を勉強されるために、和菓子を修めたあと、洋菓子を学ぶ方も多いですね。

また逆に、洋菓子から和菓子を学ぶ方は、和のテイストを取り入れる為に粉の加工方法を学ぶという方もおられます。

 

素材の話をしましたが、表現方法も違ってきます。

和文化は、もともと大事なものを包み隠して表現します。
なので大事な物は、包んでおいて、切ってから中に見えるという仕上げの仕方をします。

例えば、栗まんじゅうを思いうかべてみて下さい。切ってはじめて大きな栗が見えますね。

一方、洋菓子は層で見えます。時間の積み重ねを見せ、色々なものが組み合わさったものが最後に総合的にちゃんと見えるように表現されます。

 

味の組み合わくみせの狙いも違います。

和菓子は、最後の核となるものの味を引き立てるような、素材同志の組み合わせの仕方をします。

洋菓子は、積み上がった、トータルなものが、どんなハーモニーを産むのかということを重視します。

 

人気の菓子職人になるために必要なもの

 

Q、 東京製菓学校では、和菓子職人になるための2年間で、どんなことを主眼において伝えておられますか?

A 、 2年間で和菓子のスペシャリストになるためのカリキュラムにしています。
ここで2年間どっぷりつかれば、和菓子職人として知識も技術もどこへ行っても恥ずかしくないと言ってもらえるまでのことを学んでもらっています。

というのも、菓子は主食ではないからです。
うちの菓子は美味しい、というのは、当たり前なんです。

お客様が菓子を購入されるのは、生きる上において、菓子が必要欠かざるものというのではなく、心の栄養をもとめて召し上がるものだからです。

 

なので正確な技術という味の担保の上に、何か価値を付け加えないと、菓子屋としては成功していきません。

そのプラスするものは何かを探すのは、職人一人一人の目指すものによって違ってきますが、とにかく美味しい菓子を当たり前として作るその技術は、どこへゆくにも最低限必要と考えています。

 

定番商品が人気のお菓子屋さんは、美味しさを工夫して作ってゆく姿勢をお持ちです。

最中や大福といったものもです。
毎日の気温の変化や、季節の変化、材料の変化に合わせて、工夫を重ねる姿勢があるからこそ、「いつも同じ」といってもらえる定番商品として支持を受けるわけです。

工夫を重ねるための、拠り所となる知識と技術を徹底してまず身に着けてもらうのが、職人を育てる学校の役割と考えています。

あとは、土台の技術が得られれば、努力次第で、工夫はできます。

 

職人に海外行きをすすめるわけ

 

Q、 今、東京製菓学校さんでは、学生さんや卒業生さんを募って海外に行かれていますね。

A、はい。海外に目を向けることを強く勧めています。
そのため、在校生、卒業生の中にも、海外を志向するものが多くおります。

国内需要が落ちている中で、まず内需拡大だろうとおっしゃる方もおられます。
それでも、生徒たちに海外に目を向けるように伝えている理由は、いろんな人の評価を受けてもらいたいからです。

美味しさには、人それぞれに幅があります。
なので、おいしさを追求し続けると到達点はありません。
何をすればより美味しくなるのか、効果的に伝わるのか、自分のお客様となる人にその工夫がはまるのか、など、いろんな人の美味しい幅を知ってもらいたいからです。

海外の人は、美味しさの幅が違ってきますので、受け止め方の表現も大きくちがうものが返ってきます。
美味しさをより追求する工夫や姿勢に何が必要かということを、フィードバックしてもらいやすいわけです。

実際には、海外に行って ビジネスをするためには、まずは売れないといけませんし、利益を出さないといけません。
なので、 いきなり海外に行って店を出せと言っているわけではありません。
職人にとって海外経験は、美味しさを追求し、工夫をし続けるヒントと刺激になると考えています。

 

和菓子業界も働く環境が変化している

 

Q、 東京製菓学校の和菓子で学ぶ留学生生徒さんには、どんな国から来られてるんですか?

A、 年を追うごとに、来られる国や地域が変わってきています。
20年前であれば韓国や台湾が多かったですね。
そして、次に、中国の波が来て、今、フランスやスペインからの留学生さんが目立ちます。

 

Q、 日本の学生さんは、菓子店を継がれる方が多いんですか?

A いえ。今は、サラリーマンのご両親の下でそだったけれど、菓子屋になりたいという方が多いですね。

また特徴的なことは、女性の生徒さんが半分という点です

 

Q 昔は、和菓子屋さんは、男性の方が主流だったんですか?

A、 そうです。
和菓子店にまず修行で入る時に、男性だったら受け入れるという職場も昔は多かったので。

でも、菓子は人なりといいます。
楽しそうな性格の人が作ると、楽しそうな菓子ができます。
おなじように、女性でないと表現できないと思われるような菓子を、女性の職人さんが作ってくれたりします。
なので、和菓子業界全体で、 女性の職人さんをどんどんと受け入れるような仕組みに、だんだんとなってきています。

例えば、「ばんじゅう」といって、餡を入れるプラスチックの大きな箱みたいなケースがあります。
そのばんじゅうに、餡をめいっぱい入れて持ち上げると15 kgを 越します。

いま、10 kg の米袋も、なかなか主婦の人からは敬遠され、袋が小さくなっていますよね。
同じように、ばんじゅうの大きさも半分になって、女性の職人さんも持ち運びしやすいばんじゅうが現場で出まわってきています。

また、材料もそうですね。
小豆が流通する大きな袋ひとつを、一体(いったい)というのですが、一体の重さは、大体25キロから30 kg です。
しかしながら、これも女性の職人さんに配慮して、半分の重さの袋で販売されるケースも増えてきました。

Q、 あ、だからなんですね。
生産者さんのところに取材に行って、出荷の時の袋を見せてもらった時、これ半分の容量の袋ですと見せてもらったことがあって、あー半分の量で購入したいっていう人もいるんだ、 という理解でしかその時はなかったんですが、 つまりは職場環境の変化をみんなで受け入れ、女性でも持ち運びしやすいようにということなんですね。

A、 そうですね。女性の職人さんが増えたということもあるでしょうし、職人の高齢化がすすんでいるというのもあるでしょうね。

 

Q、 働く時間や残業のことばかりが今よく取り上げられていますが、その業界の中だけで完結するものではなく、業界を取り巻く、様々な業種との連携があって初めて、働きやすい環境というのができるのですね。

A、 そうですね。伝統という言葉で文化を閉ざすと、時代の変化に対応できなくなって菓子屋が潰れるということにもつながりかねません。

なので技術を身につけ続ける努力をし、そして人間性を磨き続ける。
そんな、ずっと研究熱心で、そして菓子に対して誠実であり続けることで、時代に求められ、利益を得ていく商売になるということに繋がると思います。

お話しをうかがった、和菓子課の森﨑先生と、ドリアンさん

フランスに練り切りの和菓子店を開きたい

 

Q、 フランスからの留学生さんに、お話を伺わせていただけますか。

A、 ベルジュス・ドリアンを紹介します。

 

Q 、はじめまして、こんにちは。なにがきっかけで、和菓子 職人になりたいと思われたのですか?

A、 もともと、ストラスブールの大学で、日本語と日本文化を学んでいました。

東京製菓学校がストラスブールで1日お菓子教室のイベントをした時に、インターンシップでイベントに参加したのがきっかけで、和菓子に目覚めました。

 

Q大学を辞めるほど、大きな決断をされた魅力はなにだったのでしょうか。

A、 練りきりや上生菓子の形や色が、とてもきれいだったことです。
そこに、フランスの菓子にはない新しさを感じたからです。
これをフランスでも広げよう、きっとみんなに喜んでもらえると思ったからです。

 

Q、 卒業されたらフランスでお店を開かれることが目標ですか。

A 、はい。
将来的にはフランスでお店を作りたいと考えています。

でも、フランスでは経験するところが少ないので、卒業したらまず日本で経験し、そしてフランスでもお店の作り方などを経験し、そこから出店して行こうと考えています。

 

Q 、フランスで開店されるお店は、どんな和菓子屋さんにされたいですか?

A 、いま、フランスで和菓子といえば、焼き菓子の、どら焼きや,たい焼きが人気です。
まだ、練りきりは人気ではありません。
でもフランス人は見た目もとっても大事にしますので、綺麗で食べやすい和菓子は、絶対人気になると思うのです。

是非、卒業されてからもまたお会いしたいです。フランスにお店を出されたら是非行かせてくださいね。お話し聞かせていただいてありがとうございました。


東京製菓学校の小林先生、森﨑先生、そして、ドリアンさん、お話しきかせていただきありがとうございました。

 

人にあわせて菓子は進化しつづける。

ずっと同じことをくりかえしているから定番や老舗になるのではなく、進化しているから、定番とか老舗でありつづけるのだということを、教えていただきました。

また、そんな和菓子づくりの技術とマインドをもった和菓子職人さんが、今後どんどん海外でも営業ベースで活躍される日がすぐそこまできていることにも、ワクワクしました。

近いうちに、和菓子は、日本から輸出するものではなく、現地で、現地の人に愛され、現地の菓子へと進化しながらどんどん広がる世界がきていることを感じました。

取材 2019/6/21

 

取材協力

東京製菓学校 教育部 部長 小林紀夫様
教育部和菓子課 森﨑宏様
https://www.tokyoseika.ac.jp/

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どら焼きを初めて食べるフランス人の反応は?

甘い豆はヨーロッパ人に受け入れられないとか、黒い食べ物は受け入れられないとか、いろんなことを、小豆と海外をめぐって言われます。

でもそんなことはありませんでした。

美味しいものは、美味しいものとして受け入れてもらえる。
そんな自信を、フランスのリヨンでもらってかえってきました。

北海道十勝清水の小豆農家、森田農場さんが、リヨンで開催された大きな食の見本市Sirha(シラ)に出展し小豆の紹介をされました。
森田農場さんの小豆をつかって、東京大田区の和菓子処みなもとの和菓子職人岩崎さんが、どら焼きをブースのなかで焼いて提供されました。

今回、小豆紹介のブースで、取材を兼ね、小豆をヨーロッパの食のプロに紹介する最前線の現場を体験してきました。

sirha2019の紹介

2019年1月26日(土)から30日(水)までの5日間、美食の街フランス・リヨンにて世界最大級の外食産業向け展示会「シラ国際外食産業見本市」が開催されました。

2年に1度開催されるこの見本市は、世界133カ国から20万人以上の外食産業のプロフェッショナルが集まるBtoB見本市です。

外食産業のトレンドを「創る・発信する」見本市としても高い評価を得ており世界中から25,000人以上の有名シェフ達が新しい食材・素材を求めて集まるほか、ボキューズ・ドールなど世界最高峰の国際コンクールが開催される場として多くのメディアも注目する場でした。

日本からは、ジェトロが主催するジャパンパビリオンに、みりんや醤油、日本酒、緑茶、小豆など、約30社(団体)が出品していた他、愛媛や京都など自治体ブースもあり、多くの人が、足をとめる場所になっていました。

小豆への2つ反応

日本で高級食材として大事にされている、北海道十勝産のおいしい小豆を、EU内で販売可能にするために、株式会社A-Netファーム十勝(森田農場)さんは小豆を出品されていました。

ブース内では、小豆を直に手に取っていただけるように展示したほか、小豆を煮て餡をつくったり、どら焼きをつくる、デモンストレーションが行われました。

小豆をみて、積極的に質問してくる方の反応は、大きくわけて二通りありました。

ひとつは、「ケス・ク・セ(これ何?)」と、知識ゼロで質問してくる人たち。

azukiという豆なんです。
azukiの使い方を提案するために、あんというペーストにして、さらにどら焼きで食べていただくデモンストレーションをしています。

という説明をすると、「甘いの?、しょっぱいの?、スパイシーなの?」と聞いてきます。
甘いですと、味の分類の説明も必要になります。

さらに、「朝ご飯にたべるの? ディナーに食べるの? いつ食べるの?」
日本ではお菓子として食べますと、シーンの説明も必要になります。

なかには、色から想像するのか、「これは、チョコ?」と聞いてくる人も。

もうひとつの反応は、「ハリコ・ルージュ(Haricots rouges)ね」と聞いてくる人たち。

何やら豆を扱っているらしいけど、わからないなあ、という反応です。
フランス語でハリコ・ルージュというと、チリコンカンに使うようなキドニー・ビーンズ(金時豆と似ている豆)を指します。

小豆を見たことがないので、大きさが違うけど、ハリコ・ルージュと呼ぶことで、みたことがないものを自分の知っている範囲のなかで関連づけて理解しようと努めてくれてるんだなと、わかります。

「ハリコ・ルージュ!」と言われて、わたしたちは、「違います。わたしたちは、小豆と呼んでいます」と、azukiと呼んでねと繰り返し続けるのでした。

初めてどら焼きをたべるフランス人

どら焼きの皮を焼く匂いに引き寄せられ、デモンストレーションでは、足を止める人たちでいつもブースからはみ出るぐらい人だかりができました。

会期中、毎日約200食のどら焼きを、岩崎さんは焼き続けました。

どら焼きの皮が焼ける間、立ち止まって、ずっとブースの前で待ってくれています。

フランス人はさすがすごいとおもったのは、「これ何?」と、どら焼きを知らないひとも、まず食べてみようと、とても積極的に質問し、口にしてくれることです。

初めての食べ物としてどら焼きを食べる人でとても印象的だったのは、皮が焼け、餡をのせ、焼き立てをわたすと、まず、かならず、鼻に近づけてクンクン嗅いで、さらにもう一度クンクンと念をいれて確かめてから、端っこをパクッと食べるという仕草です。

知らないものを食べる時は、匂いから確認するんですね。

そして大抵、一口目で、すっごくにっこりし、「うんうん」とこちらに目線を送ってくれます。

そして、安心したように、二口目でぱくっと食べきり、手についた餡も、惜しそうに舐めてくれます。

 

日本で、これほど五感で味わってもらえる幸せな小豆はあるのかというシーンが、デモンストレーションの間ずっとつづきました。

「エクセレント」「いままでこんなの食べた事ない」と、菓子職人の岩崎さんに声をかけてくれる人も。

なかには、「これは何だ?」から始まって立ち止まって食べた人が、あまりにおいしかったようで、「どら焼きビジネスをこちらでしないか」と勢いづいて話してくる人もいました。

 

小豆の味としては、どら焼きを食べた感想を仲間同士で話しておられるのを聞いていると、「栗みたいだね」と話しているひとが多かったです。

 

中には、どら焼きを、映画「あん」を観て知っているけど、でもまだ一度も食べたことがなくて、ここで初めて食べるという人も一定数いました。

筆者は、ドラエモンのアニメよりも、映画「あん」の名前を言う人が多いことが意外で、優れた映像作品の影響力の大きさを国外で初めて知るのでした。

美味しい笑顔は共通

美味しい小豆を、美味しく炊いて、美味しいどら焼きにする。

ただそれだけで、ひとは、食べて笑顔になって、喜んでくれるんだなということが、筆者にとってはとても衝撃でした。

知らなかったら食べてくれないのでは、とか、ビーガンしか興味をもってくれないのでは、とか、砂糖と豆はダメでは、とか、いろいろ考えすぎていたようです。

会期中、ずっとブースの前にひとだかりが出来、人が人をさらに呼んでくれました。
食べてみたいからくるっと回ってまた寄ってみるねとか、うわさで美味しいと聞いたから食べに来た、とわざわざ言ってくれる人もいました。

ただ、美味しいだけでよくて、知らないとか知っているとか、関係ないんですね。

食べたことがなく、おそるおそる恐そうな顔をしてたべるひとも、口にして、味わってみて、美味しかったら、すっごい笑顔になってくれる、その変化は、肌の色や、男女や、年齢は関係ないのも、感じました。

小豆を世界に広げるには

シラでどら焼きを通して教わったのは、ただ、シンプルに、わたしたちが信じる美味しさを提供するだけでいいということです。

例えば、チョコにしたり、砂糖を何かに置き換えたり、なにか小細工をする必要はまったくなくて、おいしい和菓子、おいしい小豆を提供するという直球勝負でいいのだと。

相手が知らないものでも、美味しいものは、そのまま自信をもって提供するだけでいいのだと。

でも、逆にいうと、「食べて美味しい」のが大切ということ。

美味しいものでも、輸送に耐える工夫、日持ちがする工夫、原価を落とす工夫を施すと、どうしても、味をおとすことになります。

餡づくりの技術を伝えることで美味しさを伝えることを、わたしたちは追及したほうが、小豆を世界にひろげるために近道ではないかと感じました。

日本でこそ忘れないでいたいこと

日本人のソウルフードといわれる餡や和菓子を、わたしたちは、美味しいとおもって食べていないのではと、我に返らされました。

コンビニやスーパーにある和菓子や、頂き物の日持ちのする和菓子をたべる機会のほうが、手づくりの和菓子屋さんで買求めて食べる機会よりも、多くなっています。

美味しいものを美味しいと感じることができるだけで、自分で自分を笑顔にすることができます。

ブランドや価格ではなく、おいしい餡、おいしい和菓子を、自分で見分けて食べることができる能力を忘れないでいたいです。

<取材協力>
株式会社A-netファーム十勝(森田農場)
https://www.azukilife.com/
和菓子処みなもと
https://www.facebook.com/dorayakis.minamoto/

<森田農場の小豆紹介>
【大納言級の高級で大粒な小豆をお求めの方に小豆をおすすめするとき】

■商品名 【北海道産小豆】プレミア小豆 600g
■単価 1,100円
■商品説明
十勝の青空のもとで育った在来種のなかから、特別に大粒のものを厳選しました。艶と風味のある粒あんをお試しください。粒は大納言粒と同じ5.5mm以上のものをセレクト。パッケージは直射日光を防ぐアルミゼットタイプです。
【北海道産小豆】プレミア小豆 600g

■商品名 【北海道産小豆】プレミア小豆 5Kg
■単価 6,500円
■商品説明
十勝の青空のもとで育った在来種のなかから、特別に大粒のものを厳選しました。艶と風味のある粒あんをお試しください。粒は大納言粒と同じ5.5mm以上のものをセレクト。パッケージは直射日光を防ぐアルミゼットタイプです。
【北海道産小豆】プレミア小豆 5kg

【気軽においしいあんを炊きたい方に】

■商品名 【北海道産小豆】晴れ晴れ小豆 600g
■単価  810円
■商品説明詳細
十勝の青空のもとで育った品種「きたろまん」です。皮の柔らかさが魅力。田舎じるこや小豆ご飯など、お気軽にお使いください。粒はやや小さめです。
【北海道産小豆】晴れ晴れ小豆 600g

■商品名 【北海道産小豆】晴れ晴れ小豆 5kg たくさん
■単価  4900円
■商品説明詳細
十勝の青空のもとで育った品種「きたろまん」です。皮の柔らかさが魅力。田舎じるこや小豆ご飯など、お気軽にお使いください。粒はやや小さめです。
【北海道産小豆】晴れ晴れ小豆 5Kg

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デンマークでの小豆教室の話を聞こう♪

みなもとの前で哉帆さん囲んで記念撮影

デンマーク留学中、小豆教室を開催した高橋哉帆さんをゲストスピーカーに迎え
イベント「デンマークでの小豆教室の話を聞こう」を開催しました。

高橋哉帆さんとは

「食と農業」への興味からデンマークへ交換留学

高橋哉帆さんは国際基督教大学(ICU)4年生、人類学を専攻しておられます。
2017年8月から1年間、デンマーク第二の都市オーフスに交換留学されていました。

ゲストスピーカーの高橋哉帆さんがお話されている様子
ゲストスピーカーの高橋哉帆さん
小豆ピアスをつけた高橋哉帆さんの横顔
お気に入りの小豆ピアスをつけてきたくださいました

日本ではあまり馴染みのないデンマーク。
「なぜデンマーク?」と思われた方もいらっしゃるのでは。

デンマークは農業先進国なのです。
有機農業も盛んで、普通の食品との価格差もわずか1,2割。
フードロス(食品廃棄)を4年間で25%削減させた実績もあり、
国を挙げて農業を推進しています。

食や農業に関心をもっていた哉帆さん。
このような経緯がありデンマーク留学に至ったのでした。

農業への思いを強くした千葉での農業体験
農業への思いを強くした千葉での農業体験、左が哉帆さん。(写真提供:高橋哉帆さん)

クラウドファンディングで小豆教室の費用を資金調達

そんな哉帆さんとAzuki編集部 編集長 和田との出会いは
Campfireでのクラウドファンディングでした。

「デンマークで小豆ワークショップを開催するために
クラウドファンディングしている学生さんがいるの~♡」
ということで、連絡を取り、今回のイベントにつながったのでした。

資金調達した資金は、ワークショップでの食材費や会場費に充てたそうです。

デンマークでの小豆教室

デンマークにて4回の小豆ワークショップを開催

きっかけはフードフィルムフェスティバル( Food Film Festival)でした。
偶然なのか運命なのか、
フードフィルムフェスティバル 最初の上映映画が「おはぎ」という日本映画だったのです。

「私もおはぎつくれますよ! 和菓子のワークショップできますよ‼」
と、ワークショップを開催することに。

映画上映会とおはぎ上映会の様子
哉帆さんが企画した映画上映会とおはぎワークショップの様子 (写真提供:高橋哉帆さん)

 

デンマークでは日本の食文化への関心高く、
通算4回のワークショップを開催しました。

参加者は、日本食に興味があるひと、発酵食品(味噌など)に興味があるひと、
国際交流や食文化に興味のある哉帆さんご友人と様々です。

ワークショップは、映画上映会と料理体験の2部構成。

あんこを炊くのは時間がかかるので、テレビ料理番組のように、
①ゼロからつくるあんこ、②ある程度仕込みをしたあんこ、
と2種類準備をして、あんこづくりの全工程を理解してもらおうと努めたそうです。

どら焼きつくりには、ホットケーキミックスを使用。
おもちをつくるのに日本米は準備できないので
アジアンマーケットでライスプディングを買ってきて、
と創意工夫を重ねていったのでした。

茶道とおはぎのワークショップの様子
茶道とおはぎのワークショップの様子 (写真提供:高橋哉帆さん)

海外ならではの苦労話

「ここで調理してね」といって連れてこられた会場が、
IHヒーターやホットプレートだったこともあったそうです。

小豆を煮るために、火力が強くて火の強さも目視で確認できるガス火を使用したいのですが、
デンマークではIHヒーターが一般的。
目に見えないIHヒーターでの火力調整は難しく、
ホットプレートでは全然火力が足りません。

同じ建物内の別キッチンのコンロを借りて、
時間短縮のため、なくなく強火であんこを煮詰めたこともあったそうです。

甘い豆「あんこ」へのデンマーク人の反応

「甘い豆」を食べる習慣がないデンマーク人、ヨーロッパ人の反応は十人十色です。

「おいしいね」というひともいれば、「おもしろいね」というひとも。
「おもしろいね」というひとは、大概「味は好みではない」というニュアンスを含んでいるようです。

哉帆さんが見た海外

質疑応答も盛り上がりました!!私も迷わず質問!

1点目は、「デンマークの食」
勝手な偏見ですが、ヨーロッパの中でごはんがおいしいのは南側のラテン系、
フィンランド料理は「めちゃくちゃまずい」と聞いたことがあったので、
隣国デンマークの食が気になっていました。

・日本よりは食のバリエーション少ない
・じゃがいも・ライ麦パンが主食で、豚肉をよく食べる。
・ノルウェーに近いが、サーモンは高い。サーモンよりもニシンの酢漬けをよく食べた
・朝、昼は火を使わず食べれる冷たいもの・簡単なもの(パンやオートミールなど)を食べ、
夜に温かいものを食べる

交換留学生に囲まれて生活していたので、
意識してデンマーク料理を食べに行ったそうです。

2つ目の質問は、「日本食はデンマークでどのように認知されているのか」です。
ひとによっては、まだ日本に侍がいると思い込んでる人もいますからね〜。

やはり寿司を見かけることが一番多いそうです。
それも、日本人ではなく現地の方が経営しているお店。
デンマーク第二の都市オーフスでも、いくつかお店があったそうです。
あとはラーメン。
それ以外の日本人に接する機会はほとんどなかったようです。

和菓子にも触れることは皆無ですよね。
ワークショップの中でも、
日本食には興味はあるけども和菓子、おはぎなんて全く知らないので、
日本の伝統行事の背景と合わせてご説明されたそうです。

哉帆さんを囲んで
哉帆さんを囲んで小豆・和菓子について話が盛り上がりました

あとがき

「食や農業を軸に」
「食べものはコミュニケーションツール」
「やっぱり私はあずきが好きだから」

と語る哉帆さん。交換留学に続き、これから大学を休学して新たなステージに進まれます。

会場となったみなもとのご主人からも、
フランス・プロヴァンスにどらやきを焼きに行った話を伺いました。

「将来、フランスでどら焼き屋をやりたい!」
と熱く語ってくださいました。
(みなもとの大福、どらやきが食べられなくなるのが困ります‼)

みなもとの田舎ぜんざい
みなもとの田舎ぜんざいをいただきながらお話伺いました

これからの小豆・高橋哉帆 さん・みなもとご主人の活躍に注目、期待しています‼

みなもとの前で哉帆さん囲んで記念撮影
みなもとの前で哉帆さん囲んで記念撮影
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パリから、日本の和菓子を発展させたい

パリで唯一、小豆からあんを練る和菓子店 パティスリー朋(Patisserie TOMO)を営んでおられる、和菓子職人・シェフ 村田崇徳さんにお話しを伺ってきました。

お忙しいなか取材のお時間をいただいたので、「どうしてパリで和菓子なのか」と、単刀直入な質問からはじめさせていただきました。

おいしい本物の和菓子をつくって、パリから、世界から、日本の和菓子界を発展させたい。

村田さんは、ただその熱い想いでいま活動されていることを教えてくださりました。

ご実家が和菓子店だった村田さんは、小さいころから、「どうして和菓子は広がらないんだろう」と思っていたそうです。

和菓子職人の修行を終え、実家を継ぐとなった頃、たまたま立ち寄ったパリでの出会いがきっかけで、村田さんはレストランあい田のデザート部門で働くことになり、それ以来、おいしい小豆の味をたべてもらって、和菓子のよさを知ってもらうための試行錯誤をパリで重ねてこられました。

日本で、和菓子と言えば、おじいちゃんおばあちゃんの食べ物とおもわれている場面も多く和菓子離れがおこってきています。
そんななか、ただ美味しいという純粋な楽しみを感じていただける食べ物に和菓子の地位を高めなおしたい。
もいちど小豆の良さを見直してもらいたい。
和菓子も材料は吟味され、手間ひまかけて丁寧につくられていることも伝えたい。
そのために、まず、美味いものをつくる。そして食べてもらい、またもいちど食べたいと思っていただき、そしてリピートしていただく。
これをパリでひろげ、フランスの家庭で普通にあんこがパンにつけられ食べられる世界をつくりたい。
パリで小豆が普通にたべられる世界を築けたら、日本に小豆のよさを見直す機運が逆輸入できるのでは。
そして日本でも、吟味された材料で手間ひまかかった本物の和菓子の味がもっと評価されるようになったら、手間暇相応の価格にも出来るし、そうすれば和菓子界も発展し、さらにもっと、小豆の良さを知っていただける人を増やせる。
村田さんは、翌日の仕込みで手を動かしながら、そんな想いを、とつとつと話してくださりました。

また、アレルギーの少ない安全な食物としての小豆のアピールポイントも、フランスからひろげるのが有効ではと、村田さんは話してくださりました。
というのも、フランスでも、お子様にアレルギー反応がでない食べ物をさがしておられるお母さまが多いからだとか。
あるとき、ナッツもだめ、牛乳もだめ、タマゴもだめ、小麦もだめ、だけど、あんこを初めて食べさせてみたら、アレルギー反応が出ず大丈夫だったうえ、お子様もこんなにおいしいお菓子は初めだと喜んで召し上がった、と、わざわざお店に和菓子の味を伝えに来てくださったお母さまがいらしたそうです。
グルテンフリーの安全で美味しい菓子として、あんこをフランスの子供たちがたべてくれたら、フランスや日本といった国に関係なく、子供たちの未来を救う食べ物を提供できることにつながると、小豆がもたらす可能性の高さもあるのですね。

フランスで小豆が受け入れられる素地があったから、村田さんはパリに来られたのではないと感じました。
価格や心象風景も含めて小豆や和菓子への先入観がなにもなく、まっさらな気持ちで小豆を初めて口にされる方に、ただ美味しいとおもっていただける味のご提供に専念できる場所として、シェフ村田崇徳さんは、パリにおられます。

手間暇と材料の吟味に応じた価格付けも受けいれていただける和菓子の世界までもを思い描いて、菓子作りをとおして一歩づつ進んでおられる村田さんの活動を、メディアAzukiは全面的に応援し、小豆を世界にひろげる活動の輪をひろげてゆきたいです。

村田崇徳さんが経営と和菓子づくりに携わっておられるパリの和菓子店
Patisserie TOMO
11 rue Chabanais, 75002 Paris
http://www.patisserietomo.fr/

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ペストリーのように和菓子が何個も皿に盛られるパリ

2016年11月、パリで唯一、自家製餡で和菓子を提供する菓子店がオープンしました。
Patisserie TOMOといいます。餡を練っておられるのは、和菓子職人・シェフの村田崇徳さん。

2017年1月、TOMOさんに行ってきました。
平日の昼下がり、30席ほどの広さの店内は、つぎつぎ入ってこられるフランス人のお客様でいっぱいです。

お店の看板メニューである、どら焼きと抹茶を頼みました。

どら焼きプレーン 1個 5ユーロ。日本円にして約600円。

ですが、周りをみわたしてみたら、なんと、あのテーブルでもこちらのテーブルでも、お一人づつ前に置かれている皿の上に、和菓子が2つも3つも盛られています。

最初、菓子を一皿にたくさんもっているのは、テーブルの二人でシェアしているのかと思おうとしました。でも、やっばり違いました。
お一人づつの皿の上に、和菓子が3個も盛られているのです。

わたしのなかでは、菓子店のイートインで頼む菓子の種類は、1種類があたりまえで、皿に盛ってもらうのは1個と決まっていました。
お茶席でいただく和菓子も、懐紙の上に載せていいのは1個だけです。
洋菓子店でも、注文するのは1個とおもっているからあれにしようかこれにしようかすごく悩むわけです。

なのに、隣の席も、あちらの席も、和菓子を3つも一度に頼むなんて!
プレーンなどら焼きにするか、生菓子にするか、レモン味のどら焼き風菓子にするか、どれにしようかなど悩まず、食べたいものを皿にのせられる光景をみて、羨ましい気持ちになりました。

でも、このとき、わたしは、たくさん皿に盛るんだなあぐらいにしかおもっていなかったのです。

別の日、パリ郊外の地下鉄をあがったところにある、地元の方が集まるcaféに入る機会がありました。ちょうどブランチとランチが重なる時間で、家族で囲むテーブルには、卵料理といっしょに、一つの皿の上にたくさんペストリーが載せられていて、それが、一人一人の前に置かれているのをまた目にしました。
あれ、パリでは、甘いものを食べる時、一度に、一皿にたくさん盛ってもいいのか、とそこで気づきました。
そして同時に、一度につき皿に一つしか甘いものを頼んではいけないと思い込んでいる自分を、わたしはみつけてしまいました。

パリでは、甘いものは、食べたいだけ一度に頼んでいい。

甘いもの好きにはたまりませんね。

そんな、がまんしない甘いものの食べ方をみて、ふと思いました。

日本にある和菓子店も、こんなおしゃれなイートインやカフェスペースがあるお店が増えるといいなあ。
そして、一人で皿に何個も違う種類の和菓子をのせて食べていい、それは恥ずかしくないこと、という文化が根づけば、和菓子の消費量ももっとあがるのにと。

カフェで一皿に何個も和菓子を盛る文化を見たことが、パリと和菓子でとてもインパクトの大きなことでした。
和菓子も、ペストリーと同じと思って食べてもらえているとも感じられ、嬉しかったです。

Patisserie TOMO
11 rue Chabanais, 75002 Paris
TOMOは、ちょっとかわったおしゃれで美味しいものを探す人が歩くOpera界隈にあります。
http://www.patisserietomo.fr/