井村屋さんインタビューのつづきです。
今度は、スポーツようかんの開発担当 荻原さんに、ようかんで世界に挑戦するお話しをお聞きしました。
Q 私はサイクリングと水泳をやっているのですが、トライアスロンをやる友人が、競技中の補給として、「井村屋さんのようかんっていいよ」と勧めてくれます。
以前は、コンビニで売っているミニようかんをよく使っていたのですが、それよりも井村屋のスポーツようかんの方が補給面でも食べやすさの面でもサイコーだよと説明をうけました。
スポーツに特化したようかんと、普通のようかんは、そんなに違うのですか?
はい、スポーツようかんは、スポーツをする人のためにどうすべきかを考えたようかんなんです。
もともとは、現会長の浅田からもっと新しい分野へようかんで挑戦をしていくべきではないかと提案があり、スポーツ分野へ、ようかんの糖質補給ができる商品を発売しようという考えから開発が始まりました。
当時、スポーツ用の栄養素ではアミノ酸は非常に注目される一方で、糖質は重要な要素であるにもかかわらず、あまり重要視されておりませんでした。そのため、糖質補給用の商品は「おいしさ」が犠牲になっている商品がほとんどでした。
そこで、おいしく、たべやすい食感で、さらにスポーツ時に食べやすいパッケージという3つの要素に注目して作った商品が、スポーツようかんになります。
Qスポーツするときには糖質は積極的に取らなくちゃいけないんですね。
そうなんです。
糖質は車に例えるとガソリンのようなものです。
そのため元となるガソリンそのものがないと、エンジンは本来の力を出せません。
Q 今まで選手はどうやって糖質を補給していたのですか。
今までは、バナナなどの果物やあんぱんなどを食べている方が多いと思います。
その中のローテーションとして、スポーツようかんも食べて頂ければと思います。
Q スポーツようかんは、スポーツ時の糖質補給に最適な製品なんですね。
はい。
マラソンやサイクリング・トライアスロンだけでなく登山などのアウトドアやゴルフなどでもおすすめしたいと考えています。
たとえば、筋力トレ―ニングをする方にも、すぐに手軽に糖質を補給できるものとして愛用いただいています。
Q だから、「マラソンようかん」とか「サイクリングようかん」とかではなく、スポーツようかんなんですね。砂糖が身体のなかでどう働くのかを知ると、スポーツ選手にかぎらず、日常生活のなかで、わたしたちも砂糖をなぜ摂ったらいいかを知るきっかけにもなりますね。
ところで、東京マラソンで、スポーツようかんの普及のためにイベントブースを出されていたとお聞きしました。
海外選手からの、スポーツようかんの反応はいかがでしたか。
中国や台湾、香港など東アジアからの選手は、あんこの文化があるためか「おいしい」といって食べていただく方が多かったです。欧米の方はちょっと苦手な方も半分くらいいました。
そこで、より欧米の方も含めた海外の方も食べやすいようカカオ味を考えてみました。
すると、「これはおいしい」と評価してもらうことができました。
Q チョコと小豆って愛称がいいんですね。でも、小豆を専門に扱っておられる井村屋さんにとって、「その美味しい補給食はようかんなんだ」と認識してもらえないと、「ただのカカオ味の糖質補給食」といわれてしまったら、小豆のようかんでつくる糖質補給食の必要がなくてってしまわないかと、心配になりませんか?
大丈夫です。
水を飲みたくならない位の、柔らかい流動食でありながら、スポーツの途中でも片手ですっと補給できる食べやすいパッケージにするには、やっぱりようかんでないとダメだったのです。
たとえば、ゼリーで固めただけのものだと、すこし柔らかすぎてバッケージからうまく片手で押し出されません。
小豆が砂糖と出会ってできる弾力性は、他の食べ物ではできない仕上がりなんです。
それに、わたしたちは、スポーツようかんをきっかけに、海外の甘い小豆をたべない方にも、日本のようかんを高く評価してもらえるきっかけになればと考えています。
Q スポーツようかんを食べて、いいタイムを出していただくこときっかけに、ようかんのおいしさに目覚めていただくといいですね。
はい。
スポーツシーンも、楽しくするためには、スポーツに必要な補給食も、おいしく、そして健康に配慮されているものがあれば、もっと楽しくなるとおもいます。
そうすることで、もっとスポーツをしたいという、気持ちも、頻度も高まると考えています。
そんなメンタルから健康になっていただくサポートも、わたしたちはスポーツようかんを通じて貢献できると考えています。
私たちの掲げている、おいしく健康にと言うミッションは、砂糖のありなしかかわらず、追及していけると考えています。
荻原さん、豆谷さん、お話し、ありがとうございました。
先にお話しをうかがった「煮小豆」は砂糖を取らない健康志向の方にお届けする商品でした。
一方、スポーツようかんは、砂糖をいかにうまくとりこんでもらうかが考えられた商品でした。
井村屋さんの挑戦は、おいしさに健康をプラスすることで、今まで小豆を食べなかった人たちにも、小豆が広がる道を描いておられます。
「おいしい小豆を食べて健康になってもらいたい」という井村屋さんの挑戦の道を、煮小豆シリーズやスポーツようかんを食べて応援したいです。
お話ししてくださったのは
井村屋株式会社
開発部 菓子・食品・DCチーム 課長 豆谷 希さんと、
開発部 菓子・食品・DCチーム 課長 荻原 佳典さん (2018年5月取材時点)
井村屋株式会社
2010年設立※。ようかんづくりから出発した想いや技術をもとに、あずきバー、お赤飯の素、ぜんざいなど、日本の心をテーマにした製品を開発・販売するほか、肉まんなどのヒット商品も持つ。
本社 三重県津市高茶屋7丁目1番1号
※井村屋グループとしての創業は1896年(明治29年)・会社設立は1947年(昭和22年)になりますが、2010年に持株会社制に移行したため、井村屋株式会社としての設立は2010年となります。
取材 和田美香 2017年5月17日