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榮太樓の金鍔はどうして丸いの?

榮太樓の金鍔はどうして丸いの?

日本橋にある榮太樓總本鋪さんの金鍔は、丸い形です。

丸い金鍔

四角い立方体の金鍔をみることが多いなかで、どうして丸い形なのに、同じ金鍔という名前なのか?
そんな疑問から、どうして榮太樓の金鍔は丸いのか教えていただきました。

教えていただいたのは、株式会社榮太樓總本鋪 取締役副社長 細田将己さんです。

金鍔の名前の由来は、刀の鍔から

金鍔は、京都にあった菓子の銀鍔がもととなり、江戸へきて金鍔になっていったといわれています。
京都の銀鍔は、米の皮で包まれた、丸い鍔の形で、全体的にもちっと柔らかな食感の餡菓子でした。
それに対して、江戸で生まれた金鍔は、小麦粉の皮で包まれた、丸い鍔の形で、屋台の銅板で焼いて売られ、手で食べられる餡菓子になりました。

銀鍔も、金鍔も、菓子の形が、刀の鍔※と似ていることから、この名前がついたといわれています。

ということは、金鍔が江戸で生まれたとき、刀の鍔と同じように丸い形をしていたのが本来のかたちだったのですね。

(つば[1])は、刀剣の柄と刀身との間に挟んで、柄を握る手を防護する部位、もしくは部具の名称です。

※鍔(つば)は、刃と柄の間にある、丸い部分です。

※鍔(つば)は、刃と柄の間にある、丸い部分です。

 

江戸の金つばは、あんこを食べるために皮を極限まで薄くした饅頭

江戸で生れ、発展した、金鍔は、あんこが主役の菓子です。
ストレートにあんこの味を楽しむため、小指の先ほどの小麦生地を薄くのばして、餡をつつんでいます。
金鍔は、小麦粉の皮がとても薄い、超薄皮饅頭なんですね。
金鍔を扱う店は、どこもが、極限まで皮が薄くなるよう挑戦していたそうです。
そのなかでも、榮太樓の金鍔は、「あんこがたっぷりはいって気前がい」と日本橋界隈で人気が高かったとか。

江戸で金鍔が人気だった様子は、川柳や流行歌からも伺えます。
「流石武士の子 金鍔を 食べたがり」

「年季増しても食べたいものは 土手の金鍔 さつま芋」

金鍔が江戸で代表的な菓子だったのですね。

 

沢山つくって、沢山売りたい

人気の商品を扱いたいと思う商人魂は、今も昔もかわらないようで、金鍔を売る店がどんどんふえていったそうです。
ところが、この丸い形をした超薄皮饅頭の金鍔は、実は作り方が簡単でないのが難点でした。
金鍔のつくりかたは、丸めた大きな餡を、小指の先ほどの小麦粉生地を薄く伸ばした皮で包みます。
この小麦粉の皮を極限まで薄くして餡を包む作業は、昔も今も、熟練した和菓子職人の、餡を包む技術が必要です。

人気の金鍔を、とにかくもっとたくさん作って、たくさん売りたい。
だったら、誰でも作れるようにし、たくさんの金鍔を作る方法にしよう。

そう考えだされたのが、いまの四角い立方体の形の金鍔です。
四角く固めて切り分けた餡に、小麦粉の衣を薄くつけて一面づつ焼く方法が新たに考案されました。

四角いかたちの金鍔

 

元々は丸めた餡を薄い小麦粉の皮で包む方法だったものから、製法を変え、形をかえることで、餡を包む職人技術の習得に時間をかけなくても、数がたくさん作れる菓子になりました。

丸い形の鍔

いまでは、昔ながらの丸い形の金鍔をつくっているのは、榮太樓總本鋪を含めごくわずかな菓子店だけになっています。

榮太樓の金鍔が丸いわけは、ただ元の金鍔の形にこだわっているだけでなく、熟練の和菓子職人がつくる伝統的な製法をずっと守り続けているからなんですね。

榮太樓總本鋪の金鍔は、ただ昔と同じ鍔の丸い形で売っているというだけでなく、余計なものを一切いれず、シンプルな材料を活かしたあんこ本来のおいしさもずっと追求しつづけている点にいまもこだわっておられます。
小豆と砂糖だけのしっかり味のあんこが特徴の、昔ながらの金鍔を、いちどあなたも召し上がってみてください。

もとの形をのこした昔ながらの金鍔は、榮太樓總本鋪でお求めいただけます。
でももし、江戸の屋台で売られていたときと同じように、ゴマ油の香りがたつ焼き立て金鍔を食べてみたいと思われたら、日本橋三越百貨店のなかにある榮太樓總本鋪の実演時間にゆかれることをおすすめします。

榮太樓總本鋪様 日本橋本店ならびに三越百貨店内の店舗情報
http://www.eitaro.com/shop/

取材協力 株式会社榮太樓總本鋪 細田将己様  http://www.eitaro.com/

専務取締役 細田将己様

専務取締役 細田将己様

取材日 Oct,20,2016
編集  和田美香

 

榮太樓總本鋪ご紹介

梅ぼ志飴

梅ぼ志飴

 

 

 

 

 

金鍔がルーツの、江戸菓子からつづく老舗の和菓子店。創業当時からの、余計なものを入れない、シンプルな材料と味にとことんこだわる理念を大切に守りながらも、変革を恐れない日本を代表する和菓子店として、梅ぼ志飴や、甘名納糖、あんみつ、果汁飴など、時代にあわせた新しい提案もくわえさらに深化しつづけています。
http://www.eitaro.com

ABOUT THE AUTHOR

Azuki編集部編集長和田 美香
むくみやだるさで仕事も子育ても苦しかったとき、小豆玄米ごはんや、オリジナルの小豆シリアルを毎日食べることで、調子をとりもどす経験をする。もともと美容業界で働いていており、内面から輝く美容には、毎日の食も大切と実感していたことから、小豆のよさを世界の女性に伝える大使としてAzuki.tokyoの活動を始める。
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