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食べながらあんこの起源で話がはずむ 塩あん菓子 関東3選

食べながらあんこの起源で話がはずむ 塩あん菓子 関東3選
塩と小豆餡の組み合わせの、さっぱり味の餡菓子を選びたい時がある。

 

今日ご紹介するのは、しゃっきりしたいとき、素材の味にふれたいとき、歴史好きな友や知人と珍しい話題が欲しいときの、塩あん菓子をおすすめする。
関東で伝統の塩とあんを語るなら、この3つを食べてから語りたい。

 

あんこあられ(東京 両国)

職場で手土産でもらったのが印象的でずっと忘れられない。一度はぜったい食べてみて。
そう友人から紹介してもらった、あんこあられ。

 

甘いあんこと、塩味のあられの組み合わせが、あんこ(あんこ力士のこと※)のかたちに似ていることから命名された菓子が、両国のあられ屋さんで売られている。

 

お店のご主人に、あんこあられの由来をお聞きしてみた。

 

「 塩とあんこを組み合わせられたのは、どんなきっかけがあったからですか?」
「先代が、三度いただくごはんの上にあんこをのせるぐらい、あんこが好きだったようで、ならば店の商品にもあんこをのせようということになった、と聞いてます」
「 あんことあられのくみあわせ、他所ではぜんぜんみませんね」
「 普通だと、あんこの水分が、あられにうつってしまって、あられがしなっとなるからね。うちは、そこが苦労したようですよ。」
「 餡とあられの水分調整が難しいから、他所では真似できないんですね」
「 あられをつくるはもちろん、あんこも、うちで豆から炊いてるよ。」
あられ屋さんでも、あんこを炊くところからてがけられているとのこと。 餡へのこだわりが半端なくつたわる。

 

あんこあられを、先代が商品化されたのは40年前とのこと。
人気だったので、揚げあんこあられが15年前に新しく仲間に加わり、いまは、2つのラインナップが楽しめる。

2種類のあんこあられを友人たちとの集まりで、食べてみた。
不思議そうに手を出したあと、コレ行ける、とみんなからの声。
アメリカへ里帰りする友人も、「日持ちするし、東京土産にいいから買いに行く」と。

 

定番のあんこあられと、揚げあんこあられ、食べ比べできると話がよりはずんで楽しい。
あられの塩の味もしっかりするし、こし餡の甘さもしっかり楽しめる。
甘じょっぱいの王道をゆく菓子は、日持ちがする。お土産にもいかがだろうか。

 

両国 國技堂
〒130-0026 東京都墨田区両国2-17-3
JR総武線両国駅西口下車徒歩1分
電話・FAXで地方発送の注文可能。

 

※あんこ型力士のあんこにちなんで命名されたと、國技堂さんのパンフレットには書かれている。あんこ型力士とは、丸々太ってお腹がでた体型の力士のこと。魚の「アンコウ」からきた名前。力士の体型が、 お腹がふくれてぷよぷよした手触りのアンコに似ていることから、こう呼ばれることになったそう。残念ながら、命名は、「餡」から来たわけではないそうだ。

 

塩大福(東京 巣鴨)

同じく東京で、塩とあんこの組み合わせといえば、巣鴨の塩大福。

 

これを最初に知ったのは、吉本隆明『食べ物探訪記』の中の「饅頭とあんこ」にある、こんな一節から。
子ども心に感心して好きだったのは、砂糖あんではなく塩あんの餅だった。つきたての時は砂糖あんの餅を食べたが、月日が経って餅が固くなって焼いて食べる頃になると、塩餡の餅の方が美味しかった。
[中略]
いま東京で塩あんの中に入った餅(塩大福)を求めるとすれば、わたしにはさしあたってと巣鴨のとげぬき地蔵の老人街しか思い浮かばない。わが家も両親が健在の時は餅つきのとき塩あんの餅を作ったが、わたしなどの代では餅つき自体も維持できず、米屋にのし餅だけをついてもらうことになってしまった。塩餡が食べたくなったら巣鴨の地蔵通りへ行く他ない。
出典  吉本隆明著『 食べもの探訪記 』、株式会社光芒社、ページ80-81.

 

普通の大福とどう違うのか気になって、巣鴨の元祖塩大福を手に取ることになった。

 

巣鴨の塩大福は、塩の効いた砂糖あんが、上質な餅にどっしり包まれている。
砂糖も入っている餡だが、塩がしっかり効いているので、うちの家人は、塩の味の効き具合を高く評価していた。
なんとなくちょっと塩味が効いているという程度ではなく、塩辛くない程度に塩が主張する大福だ。

 

大きさもあるため、ひとつ食べるとしっかりエネルギーチャージができたような感覚になる。

 

小豆のパワーを取り込んでいる感じがする大福。
とげぬき地蔵をお参りした帰りに買い求めることは、祈ることと食べることの二重の御利益で元気になれると掛け合わせているようだと、とげぬき地蔵の門前町で愛されてきていることに納得した。

 

みずの
東京都豊島区巣鴨3-33-3

 

※みずの元祖塩大福は昭和32年に、初代の出身地である塩あんぴんをもとに考案されたと店のホームページで案内あり

 

塩あんぴん(埼玉 桶川 )

砂糖の入っていない、塩と小豆だけの塩餡が大福の中に入っている菓子がある。
それが、埼玉の各所でいまも売られている「塩あんぴん」。

 

砂糖が普及する江戸時代後期より前は、庶民は塩味のあんを食べていたといわれている。

 

なので、塩だけの大福は、餡菓子の原型ではないかと筆者は想像した。
そのような、砂糖が普及する以前の歴史的な意味もこもっている、塩味だけの餡が、埼玉の各所で残っていることがとても嬉しくも感じられた。

 

餅と塩と小豆だけの大福は、ひとくち食べた瞬間、わたしを、田舎の祖父母たちと一緒だった幼少の頃の餅つきの日へと連れて行ってくれた。

 

それぐらい、塩大福は、餅のおいしさが際立つ。
塩だけで、シンプルにもち米と小豆の素材をいただく味は、昔はきっと記念日の贅沢食だったのだろうと感じられた。
もち米の甘さと、小豆の豆の甘さそのものの組み合わせが、砂糖のなかった頃には最高の甘いご馳走だったのだろうと。

 

甘い大福に慣れた私たちがいただいても、素材がもつ甘さを塩あんぴんはおしえてくれる。
餅と小豆の組み合わせを考えたわたしこち祖先の英知を伝える菓子として、これからもずっと愛されつづけると信じている。

 

栄屋菓子舖
埼玉県桶川市寿1-15-22

 

(参考)
吉本隆明の本

ABOUT THE AUTHOR

Azuki編集部編集長和田 美香
むくみやだるさで仕事も子育ても苦しかったとき、小豆玄米ごはんや、オリジナルの小豆シリアルを毎日食べることで、調子をとりもどす経験をする。もともと美容業界で働いていており、内面から輝く美容には、毎日の食も大切と実感していたことから、小豆のよさを世界の女性に伝える大使としてAzuki.tokyoの活動を始める。
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